○川根本町議会基本条例
平成25年6月27日
条例第17号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第5条・第6条)
第3章 町民と議会の関係(第7条)
第4章 町長等と議会の関係(第8条・第9条)
第5章 政策の審議(第10条―第12条)
第6章 議員間の自由討議と政策提案(第13条―第15条)
第7章 議会の体制整備(第16条―第19条)
第8章 議員の身分及び待遇(第20条・第21条)
第9章 最高規範性と見直し手続き(第22条・第23条)
附則
私たち川根本町議会は、日本国憲法で保障されている住民自治を実現するためにこの条例を制定します。
町民を主体とする住民自治の中で、議事機関としての議会の役割をしっかりと果たすことにより、町民、議会及び行政がともに成長していくことを目指します。
今日の議会には、単なる行政の監視にとどまらず、積極的に政策立案及び政策提案を行うことが求められています。
これらの職責を議会が果たすためには、町民の方々の議会活動への強い関心が必要です。町民との不断の情報提供及び意見交換を基礎として、議会内での徹底した議員間討議を行うことにより、議会としての意思を決定します。
そして、決定への経過と決定理由を速やかに町民に報告することを積み重ねることにより、町民と議会とのゆるぎない信頼関係を構築していきます。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、議会及び議員の活動原則等の議会に関する基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく町民の負託に的確に応え、もって住民福祉の向上と公正で民主的な町政の発展及び豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
(議会及び議員の使命)
第2条 議会及び議員は、二元代表制の充実と住民自治の観点から、政策をめぐる立案、決定、執行及び評価(監視)における論点、争点を明確にし、真の地方自治の実現を図ることを使命とする。
(議決責任等)
第3条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、自治体としての意思決定又は政策決定をしたときは、町民に対して説明する責務を有する。
2 議会は、議会運営に関し、町民に対して説明する責務を有する。
(議員の政治倫理)
第4条 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することにより、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第5条 議会は、住民自治を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し、活動しなければならない。
2 議会は、公正性及び透明性を確保するとともに、町民に開かれた議会を目指し、活動しなければならない。
3 議会は、町民の多様な意見を把握し、政策形成に適切に反映できるよう、町民参加の機会の拡充に努め、把握した町民の意見をもとに政策立案、政策提案等の強化に努めなければならない。
4 議会は、町民本位の立場から、適正な町政運営が行われているかを監視し、評価しなければならない。
5 議会運営は、町民の傍聴の意欲が高まるよう、わかりやすい視点、方法等で行わなければならない。
6 議会は、議会だより、町ホームページ等を利用し、町民に対して会議の議案、調査資料等の情報提供に努めなければならない。
(議員の活動原則)
第6条 議員は、議会が言論の府として合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互の自由な討議の推進を重んじるものとする。
2 議員は、町政の課題について、町民の意見を的確に把握し、自らの資質の向上に努め、町民に選ばれた者としてふさわしい活動をしなければならない。
3 議員は、個別事案の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上を目指し、町政を総合的な見地からとらえた活動をしなければならない。
第3章 町民と議会の関係
(町民と議会との関係)
第7条 議会は、町民に対し、積極的にその有する情報を発信し、情報の共有を推進するとともに、説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議、常任委員会のほか、全ての会議を原則公開とする。ただし、会議を公開できないと判断する場合には、その理由を明らかにして公開しないことができる。
3 議会は、公聴会制度及び参考人制度を活用して町民等の意見等を聴き、議会の政策形成に反映させるように努めなければならない。
4 議会は、重要な案件に対する各議員の態度を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めなければならない。
5 議会は、町民に対し、議会で行われた議案等の審議の経過及び結果について報告するとともに、政策形成に関する意見交換を行うため、町民との意見交換会を開催しなければならない。
6 議会は、町民からの要望、質問及び資料請求等にできる限り誠実に応えなければならない。
第4章 町長等と議会の関係
(町長等と議会との関係)
第8条 町民の直接選挙で選ばれた議員により構成される議会と町長は、それぞれの特性を生かし、緊張関係を維持しながら、政策をめぐる論点、争点を明確にし、競い合い、協力し合うことを常に意識し、良好な町政を運営しなければならない。
2 議会の全ての会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)との質疑応答は、常に町政上の論点、争点を明確にして行うものとする。
3 一般質問に当たっては、目的を十分認識し、常に政策提言等の討議を展開する等、一問一答の方式で行うものとする。
4 議長から本会議、常任委員会及び特別委員会等への出席を要請された町長等は、議員の質問に対して論点、争点を明確にするための反問をすることができる。
(政策立案、政策提案及び政策提言)
第9条 議会は、町の政策水準の向上を図るため、政策立案機能の強化に努め、もって条例の提案、議案の修正及び決議等の政策提案を行うとともに、町長等に対し、政策提言を行う。
第5章 政策の審議
(監視及び評価)
第10条 議会は、町長等の事務の執行について、事前及び事後に監視する責務を有する。
2 議会は、本会議における審議、議決等を通じて、町民に対して町長等の事務の執行についての評価を明らかにする責務を有する。
(町長による政策形成過程等の説明)
第11条 町長は、議会に重要な政策等(計画、事業等)を提案するときは、内容をより明らかにするため、次に掲げる形成過程の資料を提出するものとする。ただし、町長は、法令等の定めによるもののほか、資料を提出できないと判断する場合には、その理由を明らかにして提出しないことができる。
(1) 政策等の発生源
(2) 検討した他の政策等の内容
(3) 他の自治体の類似する政策等との比較検討
(4) 総合計画等における根拠又は位置づけ
(5) 関係ある法令及び条例等
(6) 政策等の実施にかかわる財源措置
(7) 将来にわたる政策等のコスト計算
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、政策等の適否を判断する観点から、立案、決定及び執行における論点、争点を明確にし、執行後における政策評価に資する審議を行う。
(予算及び決算における政策説明資料の作成)
第12条 町長は、予算案及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の政策説明資料を提出しなければならない。
2 町長は、決算審査に当たり、執行方針、予算等に基づいて行う行政評価について、説明資料を付して提出するものとする。
第6章 議員間の自由討議と政策提案
(自由討議による合意形成)
第13条 議会は、言論の場であることを十分に認識し、本会議、常任委員会、特別委員会及び全員協議会等における議員相互の自由な討議を中心に運営されなければならない。
2 議会は、本会議及び委員会における議案の審議及び審査に当たり結論を出す場合にあっては、合意形成に向けての議員相互の議論を尽くすよう努めるものとする。
3 議員は、前2項による議員相互の自由討議を拡大するため、政策、条例及び意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。
(委員会の活動)
第14条 委員会は、議会における政策立案、政策提案及び政策提言を積極的に行うものとする。
2 前項の目的達成のため、委員会は、自ら問題点を明らかにし、積極的に調査を行うものとする。
(調査機関の設置)
第15条 議会は、議会活動及び町政の課題に関する審査及び調査のため必要があると認めるときは、議決により、学識経験者等で構成する調査機関を設置することができる。
2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査機関に議員を構成員として加えることができる。
3 調査機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。
第7章 議会の体制整備
(議会改革推進会議)
第16条 議会は、議会改革に継続的に取り組むため、議員で構成する議会改革推進会議を設置することができる。
2 前項の議会改革推進会議に学識経験者等を構成員として加えることができる。
(議会広報の充実)
第17条 議会は、議会独自の視点から、町政にかかる重要な情報を常に町民に対して周知するよう努めるものとする。
2 議会は、多様な広報手段を活用し、多くの町民が町政に関心を持つための広報活動を行うものとする。
(議会事務局の体制整備)
第18条 議会は、議会及び議員の政策形成、立案機能を高めるため、議会事務局の調査及び法務機能の強化に努めるものとする。
(議会図書室の充実)
第19条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。
第8章 議員の身分及び待遇
(議員定数)
第20条 議員定数は、川根本町議会定数条例(平成17年川根本町条例第4号)で定める。
2 議員定数の改正については、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第74条第1項の規定による町民の議員定数の条例改正案の直接請求があった場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して議員が提案するものとする。
(議員報酬)
第21条 議員報酬は、川根本町議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(平成17年川根本町条例第45号)で定める。
2 議員報酬の改正に当たっては、法第74条第1項の規定による町民の議員報酬の条例改正案の直接請求があった場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して議員が提案するものとする。
第9章 最高規範性と見直し手続き
2 議会は、議会に関する憲法、法律その他の法令等の条項を解釈し、運用する場合においても、この条例に定める理念及び原則に照らして判断しなければならない。
(見直し手続き)
第23条 議会は、常に町民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、議会運営にかかる不断の評価と改善を行うとともに、必要があると認めるときは、この条例の規定の見直しについて検討しなければならない。
2 議会は、この条例を改正する際には、いかなる場合でも改正の理由、背景を町民に対して詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、平成25年6月27日から施行する。