○川根本町職員の懲戒処分に関する基準
平成23年11月24日
訓令第5号
第1 目的
町長は、川根本町職員の懲戒の手続及び効果に関する規則(平成17年川根本町規則第25号)第5条の定めに基づき、川根本町職員の懲戒処分を厳正かつ公正に行うことを目的として、懲戒処分の量定に関する基準を次のとおり定めるものとする。
第2 基本事項
具体的な量定の決定に当たっては、次に掲げるもののほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め、総合的に考慮の上判断するものとする。また、個別の事案の内容によっては、標準的な懲戒処分に掲げる量定以外とすることができる。なお、標準的な懲戒処分に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては、標準的な懲戒処分に掲げる取扱いを参考としつつ判断するものとする。
(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度のものであったか
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
(5) 過去に非違行為を行ったことがあるか
第3 懲戒処分等
1 懲戒処分の種類
地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第29条の規定により、職員の非違行為に対して懲罰として行う懲戒処分の量定は次のとおりである。
(1) 免職 職員の身分を意に反して失わせる。
(2) 停職 職員を一定期間職務に従事させず、その間の給与を支給しない。
(3) 減給 職員の給料を一定期間減額して支給する。
(4) 戒告 職員の非違行為の責任を確認し、その将来を戒める。
2 指導上の措置
懲戒処分には当たらないが、職員の非違行為に対してその責任を確認させ、将来を戒めるために行う行為
(1) 文書訓告 任命権者が文書により行う、指導上の行為
(2) 厳重注意 任命権者が口頭により行う、指導上の行為
第4 懲戒処分の公表基準
公平で透明な町政を確立するとともに、職員の綱紀の保持及び不祥事の再発防止を図るため、懲戒処分に関する公表については次の基準により行うものとし、処分が決定された後、速やかに行うものとする。
1 公表の対象となる処分
(1) 法に基づく懲戒処分(免職、停職、減給)
(2) 法に基づく休職処分で、刑事事件に関し起訴された職員に対して行うもの
2 公表する内容
(1) 懲戒免職の場合
ア 事案の概要
イ 該当職員の氏名
ウ 該当職員の所属、職名、年齢、性別
エ 処分の内容
オ 処分年月日
(2) 懲戒免職以外の場合
ア 事案の概要
イ 該当職員の所属、職名
ウ 処分の内容
エ 処分年月日
(3) 懲戒免職であっても、被害者本人又はその家族並びに関係者等(以下「被害者等」という。)が事件を公表しないように求めている場合は、当該職員の氏名及び所属等を公表せず、又、処分の事由を概要化するなど、個人が特定できないよう配慮することができる。
(4) 懲戒免職以外であっても、事案に対する社会的影響が著しく大きい場合にあっては、当該職員の氏名等を公表することができる。
(5) その他、警察等の捜査機関において捜査上の支障があると判断する場合、又は被害者等の人権やプライバシーに配慮する必要がある場合等においては、公表しないものとする。
第5 標準的な懲戒処分
この基準は、職員の非違行為に対して任命権者が懲戒処分に付すべきと判断する代表的な事例を選定し、それぞれにおける標準的な懲戒処分の量定を掲げるものとする。
1 一般服務関係
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
(2) 遅刻・早退
正当な理由なく勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。
(3) 休暇の虚偽申請
病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
(4) 勤務態度不良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(5) 職場内秩序びん乱
ア 職員間による暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
イ 職員間による暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 虚偽報告
事実をねつ造して虚偽の報告を行い、町の信頼を失墜させた職員は、減給又は戒告とする。
(7) 違法な職員団体行動
ア 法第37条第1項前段の規定に違反して、同盟罷業、怠業その他の争奪行為をし、又は川根本町の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 法第37条第1項前段の規定に違反して、同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。
(8) 秘密漏えい
職務上知り得た秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。
(9) 個人情報の漏えい、目的外使用、目的外収集及び紛失
ア 川根本町個人情報保護条例(平成17年川根本町条例第9号)の規定に違反して、個人情報を他人に提供し、又は不当な目的に使用し、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。
イ 不正な方法により個人情報を収集した職員は、停職又は減給とする。
ウ 過失により個人情報を盗難され、紛失し、又は流失させた職員は、減給又は戒告とする。
(10) 政治的目的を有する文書の配布
政治的目的を有する文書を配布した職員は、戒告とする。
(11) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場内における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより、強いて性的な関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言葉、性的な内容の電話、手紙、電子メール等の送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言動等」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合において、わいせつな言動等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより、相手が強度の心的ストレスの集積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言動等を行った職員は、減給又は戒告とする。
(12) パワー・ハラスメント(職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く環境を悪化させ、雇用不安を与える行為)
ア 職権などのパワーを背景にして、相手の意に反して、就業後の飲食や休日への娯楽等への付き合いの強要、仕事上の過度の能力否定や過度の責任・失敗追及及び性格・人格を否定する行為をした職員は、停職又は減給とする。
イ パワー・ハラスメントを執拗に繰り返したことにより、相手が強度の心的ストレスの集積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。
2 公金公用物取扱い関係
(1) 横領
公金又は公用物を横領した職員は、免職とする。
(2) 窃盗
公金又は公用物を窃取した職員は、免職とする。
(3) 詐取
人を欺いて公金又は公用物を交付させた職員は、免職とする。
(4) 紛失
公金又は公用物を紛失した職員は、戒告とする。
(5) 盗難
重大な過失により公金又は公用物の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6) 公用物損壊
故意に職場において公用物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 出火・爆発
過失により職場において公用物の出火、爆発を引き起こした職員は、戒告とする。
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給
故意に法令に違反して諸給与を不正に受給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 公金公用物処理不適正
自己保管中の公金の流用等、公金又は公用物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。
(10) 公務に使用するパソコンの不正使用等
ア 職場のパソコンを私用等の不適正な目的で使用し、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職又は減給とする。
イ 他人のID、パスワードを使用し、又はコンピューターシステムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスし、システム又は情報資産の破壊、改ざん若しくは消去を行い、又は情報を漏えいさせた職員は、免職又は停職とする。
ウ 他人のID、パスワードを使用し、又はコンピューターシステムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスした職員は、停職又は減給とする。
エ 職員のID、パスワード等の識別符号を他人に提供したことにより、町の情報資産に被害を生じさせた職員は、停職又は減給とする。
オ 故意にウィルス又は不正なプログラム等を利用し、システム又は情報資産を損壊させた職員は、免職又は停職とする。
カ 故意にウィルス又は不正なプログラム等を利用し、ネットワークの適正な運用を妨げた職員は、停職又は減給とする。
3 公務外非行関係
(1) 放火
放火をした職員は、免職とする。
(2) 殺人
殺人をした職員は、免職とする。
(3) 傷害
人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
(4) 暴行・けんか
人に暴行を加え、又はけんかをした職員は、減給又は戒告とする(当該職員が人を傷害するに至らなかったとき)。
(5) 器物損壊
故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 横領
自己の占有する他人の物(公金及び公用物を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。
(7) 窃盗・強盗
ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
(8) 詐欺・恐喝
人を欺むき、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。
(9) 住居侵入
正当な理由なく、人の住居等に侵入した職員は、停職又は減給とする。
(10) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(11) 麻薬・覚せい剤等の所持又は使用
麻薬、覚せい剤等を所持又は使用した職員は、免職とする。
(12) 酩酊による粗野な言動等
酩酊して、公共の場所や乗物において、著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(13) わいせつ行為等
ア 強姦又は強制わいせつなどの行為をした職員は、免職又は停職とする。
イ 公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。
ウ 公共の場所等において盗撮行為を行い、又は人の住居をのぞき見した職員は、停職又は減給とする。
エ 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、停職又は減給とする。
オ ストーカー行為等をした職員は、停職又は減給とする。
4 交通事故・交通法規違反関係
交通事故、交通法規違反を犯した職員の懲戒処分等については、川根本町職員の交通事犯懲戒処分等取扱要綱(平成17年川根本町告示第18号)の定めによるものとする。
5 監督責任関係
(1) 指導監督不適正
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適性を欠いていたと認められる職員は、減給又は戒告とする。
(2) 非行の隠ぺい・黙認
部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。
附則
この訓令は、公示の日から施行する。