○川根本町中小企業・小規模企業振興基本条例

平成31年3月26日

条例第7号

川根本町は、高級煎茶ブランドとして有名な川根茶を産する茶業及びSLの常時運行で知られる大井川鉄道、寸又峡温泉を代表とする数箇所の温泉地、南アルプスユネスコエコパーク登録地域、数多く残るつり橋等、豊かな自然に恵まれた多くの資源を背景とした観光業の2本柱を強みとして成り立ってきた。

また、本町の情報基盤整備による通信の高速化、富士山静岡空港の開港、第二東名高速道路の開通等の交通アクセス等通信及び交通環境も大きく変化してきており、新たなビジネスチャンスも到来している。

しかし、近年は、急速に進む過疎化及び高齢化により茶業のブランド維持が危ぶまれるほか、観光業においても、競争の激化に伴う宿泊・サービス業関係の廃業者が増えつつあり、地域経済の疲弊が深刻化している。

こうした背景の中、持続可能な町づくりを進めていくためには、地域を支える中小企業・小規模企業の役割とそのあり方について、地域社会全体で認識を共有し、協同により中小企業・小規模企業の振興に向けた取組を実施することが重要である。

そこで、中小企業・小規模企業の持続的な振興を本町の重要な課題として位置づけ、基本理念と各主体の役割を明らかにするとともに、中小企業・小規模企業自らの創意工夫及び自主的な努力を求めることで、町民が豊かで安心して暮らせるまちを目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業・小規模企業が本町において果たす役割の重要性に鑑み、中小企業・小規模企業の振興に関する基本理念を定め、町及び各関係団体の役割を明らかにするとともに、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、中小企業・小規模企業の健全かつ持続的な発展を促進し、もって地域経済の活性化及び町民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 小規模企業 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 中小企業・小規模企業支援機関 商工会、商工会連合会、中小企業団体中央会その他の中小企業・小規模企業の経営に関する支援を行う機関をいう。

(4) 大企業 町内に事務所又は事業所を有する事業者であって、中小企業・小規模企業以外のものをいう。

(5) 金融機関 銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融に関する業務を行う事業者をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業が多様な事業分野において特色ある事業活動を行い、様々な就業の機会を提供することで、地域経済の基盤を形成しているという基本的認識の下、伝統産業の継承及び新産業の創出並びに地域社会の発展を目標とし、中小企業・小規模企業の自らの創意工夫と自主的な努力を尊重しつつ、町、国、静岡県、中小企業、小規模企業、中小企業・小規模企業支援機関、大企業、金融機関等が連携しながら、町民と一体となって推進されなければならない。

(町の役割)

第4条 町は、前条の基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を実施するものとする。

2 町は、中小企業・小規模企業の振興のための施策の実施に当たっては、中小企業・小規模企業の実態を把握し、その意見の反映に努め、国、静岡県、中小企業・小規模企業支援機関、大企業、金融機関及び町民と連携協力して取り組むものとする。

3 町は、中小企業・小規模企業の人材の育成及び確保に資するため、中小企業・小規模企業の地域社会における重要性について、町民等の理解を深めるよう努めるものとする。

(中小企業・小規模企業の役割)

第5条 中小企業・小規模企業は、経済的社会的環境の変化に即応するため、自主的に経営の向上及び改善に努めるものとする。

2 中小企業・小規模企業は、自らが地域社会の重要な一員であるという認識の下、同業異業を問わず、地域内での企業間連携を図り、積極的に協同活動を行うよう努めるものとする。

3 中小企業・小規模企業は、後継者の育成等により円滑な事業の承継を図るとともに、労働者の積極的な雇用の維持及び創出並びに労働環境の整備に努めるものとする。

(中小企業・小規模企業支援機関の役割)

第6条 中小企業・小規模企業支援機関は、中小企業・小規模企業が行う経営の向上及び改善策に対して、他の中小企業・小規模企業支援機関と連携し、積極的に支援するよう努めるとともに、町が行う中小企業・小規模企業の振興に関する施策の実施に協力するよう努めるものとする。

(大企業の役割)

第7条 大企業は、中小企業・小規模企業が地域経済の活性化並びに町民生活の安定及び向上並びに自らの事業活動の維持及び発展のために重要な役割を果たしていることについての理解を深め、中小企業・小規模企業との連携及び協力に努めるとともに、町が行う中小企業・小規模企業の振興のための施策の実施に協力するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第8条 金融機関は、中小企業・小規模企業が経営の向上及び改善に取り組むことができるよう、各中小企業・小規模企業に適した円滑な資金供給、経営相談その他の支援により、中小企業・小規模企業の成長発展に協力するよう努めるとともに、町が行う中小企業・小規模企業の振興のための施策の実施に協力するよう努めるものとする。

(町民の役割)

第9条 町民は、中小企業・小規模企業の振興が、地域経済の活性化並びに町民生活の安定及び向上に重要な役割を果たしていることに理解を深め、町等が実施する中小企業・小規模企業の振興のための施策に協力するとともに、消費者として、中小企業・小規模企業が提供する製品及びサービスを積極的に活用するよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第10条 町は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、次に掲げる事項を基本とする。

(1) 中小企業・小規模企業の経営基盤の安定及び強化並びに経営の改善を図ること。

(2) 中小企業・小規模企業の資金調達の円滑化を図ること。

(3) 中小企業・小規模企業の販路開拓を図ること。

(4) 中小企業・小規模企業の新たな事業展開を図ること。

(5) 中小企業・小規模企業の事業活動に必要な人材の確保及び育成を図ること。

(6) 中小企業・小規模企業の創業の促進を図ること。

(7) 中小企業・小規模企業の円滑な事業承継の促進を図ること。

(8) 町が行う工事の発注並びに物品及び役務の調達において、中小企業・小規模企業の受注機会の拡大を図ること。

(財政上の措置)

第11条 町は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(会議の設置)

第12条 町は、中小企業・小規模企業の振興のため必要と認めるときは、町、中小企業、小規模企業、中小企業・小規模企業支援機関その他関係団体で構成する会議を設置することができる。

(委任)

第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

川根本町中小企業・小規模企業振興基本条例

平成31年3月26日 条例第7号

(平成31年4月1日施行)