桑田真澄さん ふれあい講演会「夢をあきらめない」(2010年)
2010年2月20日(土曜日)午後1時30分から、川根本町文化会館ホールにおいて、桑田真澄さんを講師に迎えた「ふれあい講演会」が開催されました。
演題は「夢をあきらめない」。
「超落ちこぼれ」だった小学生時代から、目標を定め「努力」することを学んだ中学時代のお話、PL学園時代に清原和博さんと初めて出会った時の話など、桑田さんは、途中、エピソードにちなんだクイズを出題し解答した観客に用意したサイン色紙をプレゼントしたり、ユニホーム姿の野球を志す後輩を見つけると舞台に上がるよう呼び掛け熱い握手を交わすなど、講演会は終始和やかなムードで進行しました。
桑田さんは成功するためには実力以外にも幸運やツキも必要だと説明。
「野球も人生も同じで成功と失敗は紙一重です。たった1センチメートル違うだけでホームランと外野フライの違いが出る。いい当たりの打球を打っても野手の真正面ならアウトになる。そのたった少しの違いや運・不運が、年棒で何千万円もの違いになってしまう。でも、運やツキといったものは裏の努力で貯蓄ができるんです」と桑田さん。「努力には表の努力と裏の努力と二種類あり、表の努力は野球で言うと体力作りや投球・打撃練習といった野球をうまくなるための努力。裏の努力はトイレ掃除、雑草取り、ゴミ拾い、あいさつといった野球とは関係のない努力。この裏の努力を積み重ねることで、運やツキといったものの貯蓄ができる」と話します。
特待生として入学したPL学園では、清原和博さんをはじめとする超高校級の選手に囲まれ、「投げても投げても打たれてしまう。僕は小さくて駄目だとコンプレックスで挫折した」と言います。
「転校したい」と母親に相談したところ「あきらめてはいけない。人生は何が起こるか分からない。誰にも結末は分からないのだから絶対にあきらめてはいけない」と言われ、今まで以上に裏の努力を一生懸命続けた。すると7月に不思議なことが起こりました。
「成績が振るわなかったが、試合で投げる機会が与えられました。裏の努力はしていましたが、実力に変化はないので投げても打たれてしまいました。ただ、いくらヒットを打たれても点を取られなかったんです。ランナー1・2塁のピンチでも、いい当たりの打球が内野手の正面へ飛び、ダブルプレーになったりして、いつの間にか9回全部無失点で抑えていました。そしてその試合から数え、気がつけばその年の甲子園優勝投手になっていたんです。今思えば、あの幸運は裏の努力のおかげ以外には考えられません」と話し、「みなさん今日からでもいいので、気持ちを入れ替えて実践してほしい」と訴えました。
プロ野球選手として巨人軍に入団し、挫折した時に出会った「試練」という言葉については、「試練は試合の『試』と練習の『練』と書きます。練習して試合で試す。失敗したらまた練習して頑張るということだと思います。試練イコール挑戦です。僕は努力と試練という言葉で23年間プレーすることができました」と話されました。
また、桑田さんがもうひとつ大切にしている言葉として「本物に触れること」を紹介。全盛期を過ぎたあと、メジャーリーグに挑戦したことについて「どうしても自分の足で、選手として、メジャーリーグの舞台に立ちたかった。本物に触れたかったから、周囲の反対を押し切って挑戦しました」とメジャーリーグ挑戦時の思いを語り、「今日は皆さんにも本物に触れていただきたいと思い、こんなものを用意しました」と甲子園で優勝した時のグローブとPL学園ユニホーム、巨人時代のユニホーム、パイレーツ時代のユニホームとグローブ、清原和博さんの巨人時代のユニホームを桑田さんが指名した6人の観客に舞台上で手渡しました。そして、「せっかくですから、席に戻って周りの方にも触らせてあげてください」と、大勢の観客に”本物”に触れる機会を与えてくれました。
講演会の最後は桑田さんのサインボール抽選会が開かれ、桑田さん自らが抽選をしました。
桑田さんが「では、最後の1個の当選者は、自分の背番号にちなんで番号札18番の方にしましょう」と粋な計らいをしました。しかし当選者が名乗りを上げません。しばらくして、申し訳なさそうに少年が手を挙げ「さっき、(クイズに答えて)サイン色紙をもらったので・・・」と遠慮すると、「遠慮しなくていいんだよ。君には運もツキもあるということなのだから」と桑田さん。
会場は笑顔と拍手でいっぱいになりました。
〔レポート:服部了士〕
質疑応答
【質問1】 ピンチの時に、どういうことをマウンドで考えていたか?どのようにして気持ちをプラス思考にしたのか。(川根高校野球部員)
【回答1】 マウンドに立つときは常に緊張と恐怖心でマイナス思考だった。不断の努力と、仲間を信じ、マイナスをプラスに変えた。
【質問2】 どうしてピッチャーになったのか?(小学生)
【回答2】 野球で一番自信があったのは守備。二番目がバッティング、三番が走塁。四番目がピッチングだった。一番苦手なピッチングを頑張ってみようと思ってやった。
【質問3】 ライバルは誰ですか?(小学生)
【回答3】 ライバルは自分だと思う。自分に勝てなければライバルにも勝てない。
問合せ先
- この記事に関する
お問い合わせ先
更新日:2017年03月29日